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お酒のラベルを印象づける、特色インキのはたらき

2020年6月10日

特色インキによって広がる表現の幅

今回は当社が得意としている特色インキの調合とその印刷について、2回に分けてお話したいと思います。

なぜ得意かと申しますと、当社が宝ホールディングスのグループ会社で、創業以来、宝酒造向けにお酒のラベルをたくさん印刷してきたことと関係しています。  

お酒のラベルは、まさにお酒の「顔」。 お酒を売る方も買う方も、これがないとどのようなお酒なのか全くイメージが持てません。
そう、たった1枚のラベルにそのお酒の特長や打ち出したい世界観といった「お酒のイメージ」が凝縮されており、特色インキによる印刷は、その表現をより強く印象づけるために欠かせない手法なのです。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 特色インキとは ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
一般的なカラー印刷は、黒・青・赤・黄の4色を掛け合せてさまざまな色を表現します。
その4色のインキをプロセスカラーインキと言い、特色インキはそれ以外の色インキを指します。
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特色インキは、ラベル以外にも企業様のロゴ色や金・銀を使った印刷などに使用され、プロセスカラー印刷では再現の難しい色や、しっかりとした濃い色、逆に薄く淡い色を再現することができます。    

特色インキの調合は「感・コツ・経験」の職人技

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特色インキは、お客様からいただいた色見本を参考に、2~6種類程度のインキを混ぜ合わせて作っていきます。
その調合は、まさに職人芸の「・コツ・経験」が頼りになる作業です。  

配合に関しては、自動インキ計量装置(CCM)を使えば、コンピューターで自動的に計測できますが、最終的には職人のひと手間が必要不可欠となります。

調合のポイント_余白なし

①の用紙の様相は作業に大きく影響します。
ひと言で「白い紙」と言っても、並べて見比べるとかなりの違いがあります。
青味がかったものや、黄色味がかったもの、またその程度にも違いがあるため、紙の色を考慮した特色インキの調合が必要となるわけです。
色の他には用紙の「表面粗度」によっても配合を変える必要があります。「表面粗度」とは、紙の表面の粗さの度合いのことで、ザラザラしている紙とツルツルしている紙とでは、インキの色合いに違いが出るため、表面粗度に合わせて配合を調整していきます。  

インキを練る時は8の字を書くように

実際にインキを練る手順を解説しますと、まずお客様からいただいた「色見本」を参考に、必要なインキをインキ缶から調肉板に取り出して行きます。
この時インキ使用量が多いものから順に取り出します。なぜかというと、例えばわずかに黒で濁したい時は、まずベースとなる色味を練り上げてある程度確定させた後に、少しずつ黒インキを足して目標色に近づけていきます。
最初に墨をたくさん投入してしまうと、色が合わなかった時に使用量の多いインキをさらにたくさん投入しないといけなくなるからです。  

IMG_2891   作業者は金ベラを両手で持って前かがみになり、インキに対して横向きの8の字を書くようにヘラを動かしてインキを混ぜていきます。

インキ全体をまんべんなく混ぜるためには、広がったインキの端っこの方、インキの下の方を掬い上げては真ん中へ、掬い上げては真ん中へと移して練り上げていきます。

インキがまんべんなく混ざったところで、次に、練り上げたインキを少しだけ紙に取り指先を使って紙同士を叩き合わせてインキを伸ばします。

調肉作業は根気の必要な作業ですが、イメージ通りの色を印刷機で一発で出せた時はとてもうれしいものです。  
次回は作成した特色インキを使ってラベルを印刷する工程のお話をしたいと思います。

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