企業向け動画の制作を依頼するにあたってのポイント② -コンテ作成から実際の撮影、編集、納品まで-
2024年8月23日
企業向けのクオリティ動画を制作するにあたって、今回はコンテ作成、撮影、編集までの流れについて重要なポイントをご説明します。
コンテ作成
コンテとは簡単に言うと動画のシナリオ(指示書)です。動画において必要な要素や順番、時間など、構成やレイアウトなどを考えます。編集者が見てすぐわかるように細かい指示が必要とされます。実際依頼者が作成することはあまりなく、制作会社にて行われます。内容によっては、依頼者がコンテを見ずに、動画のみを見て修正指示を出すといった仕事も沢山あります。
コンテには主に字コンテと絵コンテの2種類があります。
字コンテ
すでに動画の素材が揃っており、方向性や制作の順番が固まっている場合に作られます。
(静止画をつなげて紹介するだけの動画など)
絵コンテ
素材もそろっておらず、制作会社の企画提案要素が大きい場合に作られます。
動画制作は絵コンテで進行することがほとんどです。
下記は実際の動画で作成した絵コンテです。(一部イメージ図が入っています)
<実際の動画>
<絵コンテ>
絵コンテといえば映画で見かけるような大業なものをイメージすることが多いですが、しっかり伝えたいことを明記すれば、多少は荒くてもかまいません。動画自体もこれから撮影するものが多い場合は、近いイメージのものをフリー素材のサイトなど仮ではめ込むこともできます。
コンテ作りは編集作業において、かなり重要性の高い要素です。このコンテがいい加減でざっくりしていると、あとの編集作業に大きく混乱が生じ、作業時間が大幅にかかってしまいますので、丁寧なコンテ作りは欠かせません。
撮影
ロケハン
コンテ作成が終われば、実際の撮影に進んでいきます。撮影内容がわかれば、実際に撮影する場所の下見、ロケハンを行います。制作会社やカメラマン同行にて、実際の撮影場所を見ながら、撮影対象物やカメラアングルなどの撮影の仕方のすり合わせを行っていきます。
・屋外撮影の場合
自然光があるので、光は問題ありませんが、天候に大きく左右されるので注意が必要です。
ロケハンは撮影時と同様の時間帯に行えることが望ましいです。
・屋内撮影の場合
建物の中で撮影する場合は、光や照明、工事音や電車などの外部音が干渉するかを確認が必要です。
<照明機材>
屋内が暗すぎて、備えつけの電気だけでは対応できない場合や、照明の位置が悪く、人物に変な影ができてしまう場合など、別で照明機材が必要となります。
<音響機材>
カメラには基本マイクが内蔵されていますが、あまり性能が良いものではありません。撮影に支障をきたす場合は、音声機材を追加で依頼しなければなりません。特に、インタビュー、講演会動画などの音をしっかり拾いたい場合には、要注意です。
このロケハンにて、時間、場所、演者の立ち位置など撮影当日に想定されることを詰めていきます。ちなみにロケハンがないと、当日行き当たりばったりの撮影になり、時間が足りない、思っていたような撮影ができないなどの混乱を生じますので、事前のロケハンはとても大事な要素となります。
撮影カメラ
企業向け動画を撮影するカメラ機材の種類は主に「ビデオカメラ」「一眼レフカメラ・ミラーレスカメラ」「アクションカメラ」「スマートフォン」があります。用途に応じてコンパクトカメラなどを使用しているところも多数あります。
・ビデオカメラ
動画に特化したカメラのため、長時間の撮影が可能です。内蔵マイクやズーム倍率、手振れ補正機能がしっかりしています。
・一眼レフ・ミラーレスカメラ
高画質でクオリティの高い動画撮影ができ、またレンズを交換することで、様々な状況に応じた表現豊かな動画撮影ができます。ただカメラによっては30分しか撮影できないことがあるので、長時間の講演会などには適しません。
・アクションカメラ
手振れ補正がしっかりしているため、主にスポーツや動物など動くものを撮影するのに適しています。
・スマートフォン
性能が高いものも多いので、ちょっとした撮影には向いています。しかし容量とバッテリーに限界があるため、クオリティの高い企業向け動画には不向きです。
カメラ1つとっても用途に応じた多彩な性能が備わっています。
編集
撮影が終われば編集作業に入り、絵コンテにそった動画があがってきます。依頼者の多くはコンテの段階ではあまりイメージがつきづらいので、簡単なテロップからちょっとしたシーンの修正までを、動画があがってきてから指示します。ただ、コンテ時の修正と違い、動画の編集作業は修正1つと言っても大きな手間がかかります。
例えば3分22秒あるこの動画の1シーンを削除したいと修正が入った場合、
0.08秒~0.11秒のこのイメージシーンのみ削除したい
ただカットするだけでは、ページの入りも唐突で、音楽も全然あっていない…
1シーンを削除して、前後のシーンをくっつけるだけと思われがちですが、シーンの流れは問題ないか、テロップは正しいか確認が必要です。またBGMをすでに入れている段階だと、前後のBGMは違和感なく流れているか、1シーン削除したことで、BGM全体の終わりは問題ないかなどの他のシーンにも気を配る必要があります。例えば1分を超えるシーンを増やした場合、BGMが足りなくなってしまい、再度1からBGMを考え直さないといけない!といった事態もあります。
制作会社に依頼される動画はカットシーンやインタビュー、紹介など秒単位で画面が切り替わることが多いため、絵コンテの質によって作業が変わってきますので、動画ができてから修正指示を出そう!という考え方は危険です。できる限り、絵コンテ内で詳細を詰める必要があります。また動画の時間にも注意が必要です。簡単な修正でも制作動画が長いとデータが重くなり、1つの修正に対しての書き出しに大変に時間がかかります。
納品
Webサイト用かYouTube掲載用か、配布・販売用なのか、事前に納品形態を伝えておきましょう。使用用途に適した形式で納品され、動画制作は完了です。
コンテ作りから撮影、編集、納品まで、制作の概要を知らないまま、成り行きで進行してしまうと、思わぬトラブルが発生したり、トラブル対応で費用が想定以上に上がってしまったりします。
依頼者側も理解を深めていくことで、よりクオリティの高い動画制作を目指しましょう。