代理店ビジネスで抱える課題。代理店とのコミュニケーション不足を解決する手法
2025年4月30日
代理店ビジネスについて
代理店ビジネスとは、代理店と協業し、自社の商品やサービスを代わりに販売してもらうビジネスモデルです。代理店ビジネスは製造業や金融業を始めとして、100年以上の歴史を有しています。企業と代理店が連携することで、新しい市場の創出、双方の競争力強化、新規ビジネスの機会創出などのメリットも多く、ビジネスの重要な手法として、今もなお進化し続けています。
しかし、代理店に対して、自社の商品・サービスのコンセプトや背景に関する説明を充分に行ったが、「売れない」「自社の商品・サービスが市場に浸透しない」といった悩みを抱える企業が後を絶ちません。そもそも代理店への説明は充分に足りていたのでしょうか?代理店側にとって本当に求めていた情報なのでしょうか?今回は代理店ビジネスで抱えるコミュニケーション不足の課題を解決する手法を解説します。
そもそも代理店とは?
代理店とは、メーカーや企業の製品やサービスを代理で販売する企業や個人のことです。代理店は、メーカーと顧客の間に立ち、販売活動を行う橋渡し役として重要な役割を果たします。代理店と共に取り組むことは、企業が市場拡大やコスト削減を実現するための近道となります。そもそも、自社で販売を行う「直接販売と」代理店に販売してもらう「代理販売」、どのような違いが存在するのでしょうか?
直接販売と代理販売の違い
直接販売は自社の営業が直接行うため、商品紹介や営業方針など自社のスタイルに合わせた活動が可能というメリットがある反面、どうしても営業エリアが限られてしまいます。反対に代理販売は代理店の方針に依存するため、自社の方針に沿った営業活動はできません。しかし、簡単に行けない顧客へ自社リソースを割かずに営業できるというメリットがあり、販売機会を増やし、新しい可能性を広げることができます。
代理店ビジネスの成功はコミュニケーション
代理店ビジネスを成功させるためには、代理店とのコミュニケーションは非常に重要です。代理店と市場やターゲットの認識をすり合わせ、競合製品ではなく、自社製品を売りたいという気持ちになってもらうには、情報提供や環境づくりが必須となります。
代理店ビジネスを成功させるポイント
代理店にとって、積極的に売りたくなる商品・サービスのポイントは3つに分けられます
1.売りやすく、利益率が高い商品・サービス
商品説明や受注後の手配に手間がかからず、自社の利益還元率が高い商品・サービスです。また顧客にとって、切り替えの負担を上回る大きなメリットが存在することも、販売を促進する一因となります。
2.新しい可能性や成長をもたらす商品・サービス
新規開拓や訪問の糸口がなかった新部署への開拓を助け、更に既存顧客への売り上げを伸ばすことができる商品・サービスです。
3.協業により代理店の付加価値が更に高まる商品・サービス
代理店が持つ既存事業とのコラボレーションにより、競合より優位性を見出すことができる商品・サービスです。他にも新しいパッケージとして販売することで、新たな価値を創出できる商品・サービスも好まれます。
そして、この3つのポイントを抑えるためには、情報提供や共有を行うことは欠かせません。
<代理店に提供すべき情報や素材>
・最終顧客のペルソナ情報
購入してもらいたいターゲット層の情報を提供します。顧客の基本情報だけではなく、顧客が抱える課題やニーズ、購買決定プロセスなどを伝えることで、効果的なマーケティング戦略を立てる事が可能です。
・製品情報
顧客が製品を理解し、購入を検討できるよう、必要な情報、仕様、機能、使用方法などを代理店に提供します。実際の使用シーンやお客様の声があれば、よりイメージしやすくなります。
・競合製品との比較情報
自社製品と競合製品の違いや優位性を明確にするための情報を提供します。主要な機能や性能、価格帯やコストパフォーマンス、顧客のレビューや評価の比較などが挙げられます。
・競合製品との比較情報
自社製品と競合製品の違いや優位性を明確にするための情報を提供します。主要な機能や性能、価格帯やコストパフォーマンス、顧客のレビューや評価の比較などが挙げられます。
・販促ツールの提供
代理店が効果的に製品を販売できるようにツールを提供します。製品情報を詳細に記載した印刷物やWebサイト、SNSで使用する画像や動画などが好まれます。
・宣材データの提供
代理店が製品を効果的に宣伝できるように素材を提供します。商品写真やロゴ、製品紹介動画やデモンストレーション動画、製品の特徴やメリットを伝えるためのテキストなどの素材を提供します。自社と代理店の宣伝手法が合わさることで、より効果的な宣伝が見込めます。
・売れるロジックの情報
製品が顧客の課題をどのように解決するかを、論理的に説明するための情報を提供します。
・ランク・表彰制度の運用
代理店のモチベーションを高めるための制度を運用します。例えば、販売実績に応じてランクを設定し、特典を提供したり、優秀な代理店や担当者を表彰し、インセンティブを与えたりします。
・コミュニティの運用
代理店同士や代理店とメーカーとの間で情報共有やサポートを行うためのコミュニティを運営します。これにより、代理店は最新情報を得たり、問題解決のためのサポートを受けたりできます。
代理店とのコミュニケーションを活性化させるためのツール
代理店向けのサポートメニューやツールを新しく作成・活用することで、代理店とのコミュニケーションをより有意義で価値のあるものにできます。
① 代理店向け情報誌
好調な代理店を取材・撮影し、記事にします。どのようなプロモーションや販売戦略をしているのか、そのノウハウを共有します。
② 代理店向け会員サイト
製品を販売してもらうために、必要な資料や販促ツールを会員サイトで共有します。代理店にとってお得な情報や開催セミナーのお知らせもできます。
③ 製品カタログ・パンフレット
自社用カタログ・パンフレットではなく、代理店・取扱店が実際に自社のものとして使用できるようデザインを変更し、ゴム印を押印するスペースなどを作ります。
④ ソリューション別カタログ
モノ売りではなく、製品の使用シーンや課題に即した製品訴求で、より説明しやすいカタログを作成します。
⑤ マニュアル(マンガ等)
販売方法や製品の取扱いについてのマニュアルをマンガやイラストで表現。親しみやすい紙面で活用を促進します。
⑥ 動画プラットフォーム
製品PR動画、製品取扱いマニュアル等をチャンネル運営します。管理画面で視聴分析もしながら、配信動画のPDCAも回していきます。
⑦ 動画制作
PR用のクオリティの高い動画はもちろん、使いやすい簡易の縦型動画を作り、営業活動をサポートします。
⑧ 液晶モニター付きパンフレット
商品・サービスの紹介やメリットなどを解説した動画を見せながら、パンフレットとして使用します。デジタルとアナログの良いところ取りで、貸し出し用ツールとしても活用が可能です。
⑨ 3D・ARマニュアル
製品の側面、裏面もしっかりと伝えたいというときに活躍します。AR機能で配置場所でのサイズ感や色調の確認もできます。
⑩ マイスター企画
好成績の代理店や担当者を表彰します。代理店が「売りたい気持ちになる」仕組みを伴走支援します。
代理店ビジネスで目指すべきは代理店の成功
代理店ビジネスでは、ついつい自社商品・サービスの売り上げに目が行きがちですが、何よりも重要視すべきなのは代理店の成長です。そもそも代理店にとっては、自社の製品・サービスは代理店で多く販売する商材の1つであり、事業成長に貢献しないものや、マイナスイメージを抱かせるようなものは選択しません。したがって、代理で販売を行ってもらうという考えだけでは、事業は成功しません。代理店がどうすれば売りやすくなるのか、抱えている課題などを常に考え、実行することが大切です。