観光地を360度体験!VRコンテンツで広がる新しい旅の魅力
2023年9月8日
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった先端技術は、観光業界に大きな変革をもたらしています。旅行会社や自治体による導入はコロナ禍で急増し、今後も市場拡大が見込まれます。本記事では観光分野におけるVRのメリットと活用事例を紹介します。
VR・ARとは?
VR(Virtual Reality):360度映像や音響で、現実にいるかのような没入体験を提供する技術。専用ゴーグルやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使用。
AR(Augmented Reality):現実世界にCGなどの仮想情報を重ね合わせる技術。
MR(Mixed Reality):現実と仮想が相互に影響し合う複合現実。
これらを総称してXR(クロスリアリティ)と呼びます。

VR活用のメリット
- 旅行前の下見が可能
文字や写真のガイドブックとは異なり、VR技術による画像や動画はリアルに近い感覚を味わえます。疑似体験しながら現地の情報やルートを確認することで、実際に現地へ行くときへの期待感がより高まります。また、VRによる旅行体験はある意味「下見」でもあります。観光地はもちろんホテルの部屋などを疑似体験できれば、現実とのギャップが少なくなります。 - 文化財の保護と周知
日本には多くの文化財や建造物がありますが、保護のため公開期間が限られている、もしくは一般公開できないものもあります。VRの映像や動画などで公開することによって、それらの文化財を周知できるだけでなく、「その地を訪れたい」と興味を持つ方が増える可能性もあります。 - 地域活性化とオーバーツーリズム対策
各自治体が抱える問題に「観光需要の偏り」と、観光客の大幅な増加によって地域住民の生活や環境に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム(許容を超えた観光)」があります。例えば、国内外の観光客が殺到する京都市内では観光客による混雑から派生した交通渋滞や騒音、ゴミのポイ捨てなどが問題視されています。
これらを解消し、観光客の回遊性の促進を期すため、効果的といわれているのが観光事業とVRを結びつけたVR観光です。すでに各自治体では、観光客の回遊性を促進することを期待して、観光事業とVRを結びつけたVR観光を取り入れています。
VRの観光分野への活用事例
VRやAR技術を活用した観光コンテンツは、現地を訪れる前から旅行を終えて帰宅後に至るまでの各段階(旅前・旅中・旅後)において、地域固有の文化や歴史などを伝える手段のひとつとして提供され始めています。
●旅前
現地を訪れる前にVR技術などを使った観光地の映像を見ることによって、来訪への意欲を喚起させるために活用されています。
さんゆうVR|三段峡の名所を360°体験
広島県の名勝・三段峡を体験できるWebコンテンツです。黒淵、猿飛、二段滝などの名所を、実写映像と3Dモデリングで再現し、スマホやPCからアクセス可能。季節や天候に左右されず、渓谷の魅力をいつでもどこでも楽しめるのが特徴です。現地に行けない人にも三段峡の魅力を感じら れることができます。
https://www.sandankyo.jp/sandand_discovery_vr/
●旅中
普段は立ち入ることができない文化財や歴史的建造物も、XRによってリアルに再現。現地での体験に新たな価値を加え、観光の楽しみ方を広げます。
福井県一乗谷朝倉氏遺跡|AR/VRによる歴史再現
現地ではすでに失われてしまった建造物や、通常は立ち入ることができない文化財をAR/VRで再現。来訪者はスマートフォンからアプリをダウンロードし、当時の街並みや建築物をリアルに体感することができます。ARを活用して、戦国時代の人々と記念撮影をしたり、アプリ内で銭を集 め、オリジナルのデジタル絵札と交換したり、各施設に関する動画を見たりと、現地での体験価値が大きく向上し、観光地としての魅力が再定義されています。
http://fukuisan.jp/ja/asakura/
●旅後
訪問後の体験価値をいかに持続させるかは重要なテーマです。観光地で体験した風景や文化財などをVRコンテンツとして記録。帰宅後もスマートフォンやPCで追体験をすることにより、旅の余韻を楽しむだけでなく、「また訪れたい」という気持ちを高めます。また、周囲と共有することで、他者にも来訪したいと思わせる狙いがあります。
バーチャル有馬|温泉街の魅力を自宅で体験
有馬温泉を舞台に、自宅にいながら温泉街の雰囲気や文化体験を楽しめるコンテンツが展開されています。「湯めぐりVR」、「Zoom芸妓」、「ツールド有馬」、の3つのコンテンツに分かれています。「湯めぐりVR」では、VRゴーグルを装着し、家庭のお風呂で温泉気分を味わえる4K映像を提供。「Zoom芸妓」では、芸妓とのお座敷遊びをオンラインで体験。また、eサイクルによる「ツールド有馬」では、温泉街の自然や風景をバーチャルで巡ることが可能です。
http://virtual.arima-onsen.com/
VRやARといった技術は、観光の楽しみ方を大きく変えています。行く前に旅先の雰囲気を味わったり、現地で普段は見られない文化財を体験したり、帰ってからも旅の思い出を振り返ったり・・・技術の進化により、観光の新しい可能性が増え、さらに身近になっていくのも、そう遠くない未来かもしれません。
タカラサプライコミュニケーションズ VR
https://www.takara-sc.co.jp/xr_vr/