メタバースとVRの違いは?それぞれの特徴と活用事例を紹介
2023年7月10日
近年注目を集めるメタバースはインターネット上に構築された三次元の仮想世界・仮想空間、もしくはそのサービスを意味します。
メタバースはほとんどの場合、仮想現実とも呼ばれるVR(バーチャルリアリティ)技術が使われています。
しかしメタバースとVRの違いについて理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで本記事ではメタバースとVRの違いを軸に、それぞれの特徴や活用事例について紹介します。
メタバースとVRの特徴
メタバースとVRの特徴をそれぞれ見ていきましょう。
メタバースとは
メタバースはギリシャ語で超越したという意味の「メタ(meta)」と英語で宇宙を示す「ユニバース(universe)」を組み合わせた「超越した世界」という意味合いを持つ造語です。
インターネット上にコンピューターグラフィック(CG)で表現された三次元の仮想世界、もしくは仮想世界を活用したサービスを指します。 具体的にいうと、インターネット上の三次元バーチャル空間で利用者同士が様々なコミュニケーションやコンテンツを楽しめる世界やそのサービスということです。
利用者はVRをはじめとする技術で作られた仮想世界にVRゴーグルなどを装着して入り込み、自分の分身である「アバター」として遊びやミーティング、買い物といった活動をするのが一般的です。
メタバースは当初、ゲームやイベントでの利用が主でした。しかし新型コロナウイルス感染予防対策として始まった「新しい生活環境」によって、今ではビジネスシーンでもバーチャル会議といったことで活用されるようになってきています。
VRとは
VRは「Virtual Reality(バーチャル リアリティ)」の略で「仮想現実」とも呼ばれています。
VRは現実世界ではないものの、360度の映像や音響などによって現実に起こっているかのような感覚を与えることのできる「技術」です。
主にゲームや映画、旅行などのエンターテインメントの分野、訓練や研修などのビジネスの教育分野などで実用化されています。
VRはVRゴーグルやVR用HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などを頭部に装着して聴覚、視覚に訴え没入感を増す手法が代表的です。
VRに似た概念に「AR」があります。
Augmented Reality(オーグメンティッド・リアリティ)の略で「拡張現実」とも言われます。
ARは非現実がベースのVRとは異なり、現実と仮想世界を重ね合わせることで現実が拡張したかのように感じさせる技術です。
VR、ARの進化版として「複合現実」とも呼ばれるMR(Mixed Reality、ミックスド・リアリティ)があります。
現実世界と仮想世界が互いに影響し合うことを基盤としたもので、内部構造が確認できないものの中身を可視化できることから建築物や自動車、人体標本モデルなどの3D化でも使用されています。
VRとAR、MRといったリアルとバーチャルを融合した空間を創り出す先端技術は総称してXR(Extended Reality)と呼ばれています。
メタバースとVRの違い
メタバースとVRはともに仮想現実技術を使用していますが、簡単にいうと概念が異なります。どのような違いや関係性にあるでしょうか。
仮想空間と技術
メタバースは「仮想空間そのもの」を指すのに対し、VR・ARは仮想空間を体験するための「手段・技術」であるとされています。
そういった意味で二つは似て非なるものといえるでしょう。
しかし双方を組み合わせることによって仮想空間で現実さながらの体験ができるため、メタバースにVR技術を用いるケースが多く見られます。
メタバースに必ずVRを用いるとは限らない
とはいえ、必ずしもメタバースがVRを要するわけではありません。
なかにはVRゴーグルを使わずにメタバースを体験できるサービスもあります。
一方、VRにおいてもメタバース空間を必要だとは限りません。たとえば現実にあるジェットコースターのVR映像やバーチャル工場見学のVR映像はメタバースとは異なります。
VRを用いないメタバースの事例
ビジネス向けのメタバースではVRを用いない、もしくはVRゴーグルがなくても使えるサービスやプラットフォームが多くあります。
その理由としてVRゴーグルは自室やオフィスのような環境でなければ利用しにくいことが挙げられます。
VRにこだわらなければ外出先からもメタバースをビジネスに活用しやすいでしょう。 株式会社OPSIONが提供するメタバースオフィス「RISA」は利便性を高めるため2022年に2D版として大幅にリニューアルしました。
負荷が軽減し業務用パソコンでもストレスなく利用できると言われています。
また株式会社ジクウが提供する3DCGのメタバースイベントプラットフォーム「ZIKU」は専用のアプリを必要とせず、ブラウザのみで動作できる利便性の高さが大きな特徴です。
イベントブースの設置もテンプレートが用意されているためCG制作は不要で、好みのブースタイプを選択して資料や動画を設定するだけという手軽さも企業から注目される理由の一つでしょう。
メタバース以外のVRの活用事例
身近なものの一つとしてゲームが挙げられます。ソニー・インタラクティブエンタテインメントが2016年に発売したVRヘッドセット、PlayStation VRで認知度が上がりました。
VRゲームはゲームの世界に入り込んだような没入感や臨場感が味わえるといわれています。 ビジネスにおいても活用は進み、360度映像による工場見学や旅行、不動産、建物を見学できる「バーチャルツアー」も増えてきました。
たとえば「Google Earth VR」は部屋にいながら世界各地を3Dで散歩できるサービスです。また、東京都台東区の国立科学博物館は3Dビュー+VR映像で展示品を公開しています。
メタバース以外のARの活用事例
男子プロバスケットリーグ(Bリーグ)所属の広島ドラゴンフライズを運営する広島ドラゴンフライ株式会社が、Bリーグで初めてAR技術を活用しました。
「AR選手パネル」を公式コンテンツとして2021年10月の開幕戦に合わせてリリース。
試合会場に設置された選手パネルにカメラをかざすと、動く選手とともに写真撮影ができる体験型のデジタルコンテンツでファンに好評を博しました。
世界的にヒットしたスマホの位置情報ゲーム「ポケモンGO」もAR活用事例の一つです。
AR技術で現実世界にモンスターが出現しているかのように見せることでプレイヤーの収集欲を喚起させる仕組みをとっています。
VRを活用したメタバースの事例 社名をMetaに変更し、メタバース事業への本格参入と多額の投資で話題の旧Facebookが提供するVRワークスペースが「Horizon Workrooms」です。
実世界で使用するパソコンをメタバース内に反映できるほか実際の会議に近いコミュニケーションがとれるといわれ、実際にMetaの社内会議でも使用されています。
三井住友海上は、2021年にメタバースプラットフォームのclusterを使ってメタバース内に再現した本社で、内定式を開催しました。
内定式には全国各地約220名の新入社員が自宅からオンラインでアバターとして参加し、内定者同士の交流を深めながら、働く企業の雰囲気や入社する実感を高めたといいます。
メタバースの活用事例は以下でも解説しています。
メタバースは失敗する?現状と将来性を活用法とともに紹介
ビジネスにおけるメタバースの活用例は以下をご覧ください。
メタバースのビジネス活用のメリットとは?事例を交えて紹介
メタバースとVRの特徴を理解し活用しよう
世界的にメタバース事業に取り組む企業が増えるなか、日本企業においてもメタバースやVRをビジネス活用する事例は増えてきています。
一方で、先進技術が必要なうえ、利用目的によって適した技術が異なるため、自社だけではメタバースやVRを活用したビジネス開発をうまく進められないという企業も少なくありません。
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ドローンを活用した映像や360度撮影によるVRコンテンツ、ショートムービーなど用途に応じた動画制作も対応可能です。
外部の専門企業のサポートを含め、自社の目的に合った技術の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
大平印刷のメタバース・VRサービス
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