目まぐるしい発展を遂げているVR。ゲーム、観光、ビジネス以外にも、学校や企業の教育・研修現場でVRコンテンツの活用が広がっています。本記事では、教育分野に絞ったVR活用の効果や導入事例を紹介します。

教育・研修分野でのVR活用とは？

教育や企業研修の現場では、従来の座学中心の学習が受講者にとって受け身になりやすいという課題があります。そこで注目されているのが、VR（仮想現実）を活用した教育・研修です。
VRなら、教師や指導者の話を聞くだけではなく、仮想空間でさまざまな「体験」が得られるため、能動的に考える力を養えます。この没入型学習によって、学習意欲の向上や記憶定着率の改善が期待され、授業や研修の効果を大きく高めることが可能です。さらに360度映像による体験は、複雑な作業や危険な状況の再現にも対応でき、安全学習やシミュレーションに活用されています。

教育・研修分野でのVR活用の効果

疑似体験による学習

VRの最大の特徴は「仮想空間で現実に近い体験ができること」です。集合形式での講義や研修でも、VRコンテンツは盛んに活用されており、みんなで一緒に疑似体験することで、より受講者の記憶や印象に残る内容になります。VR技術による疑似体験を通じた学びは、従来の講義形式に比べて記憶の定着につながるともいわれています。

遠隔授業・研修の実現

遠隔地など移動制約がかかるところでも、VR技術は非常に効果的です。現地で撮影された映像を体験することで、まるでその場にいるかのような、臨場感ある学習が可能です。

モチベーションと学びの質の向上

座学中心の教育や研修は、どうしても受講者が受け身になりがちです。しかしVRコンテンツなら、ゲーム感覚で楽しめるため、飽きにくく、結果として授業や研修の効果を高めます。さらに、自由に視点を動かしながら学べるため、自主的に参加する「アクティブ・ラーニング」を促進できます。

リスクの少ない教育・研修

手術のシミュレーション、災害時の安全確保など、現実世界では再現の難しい状況を仮想空間で再現できるため、リスクの少ない状態で疑似体験でき、学習効果を得やすくなります。

教育・研修分野でのVR活用事例

授業や企業の社員研修、医療現場でのトレーニングから学校案内まで、さまざまなシーンでVRコンテンツは活用されています。具体的な事例を見ていきましょう。

龍谷大学｜「メタバース高校生「文学模擬裁判」交流戦」
若い世代に裁判を身近に体験してもらうため、バーチャル模擬裁判を開催。芥川龍之介の「羅生門」を題材に、若者が老婆から着物を奪い取った場面をもとに、「強盗罪が成立するのか」「緊急避難が認められるのか」をめぐって、参加者が検察官や弁護人のアバターとなり、立証弁護活動を展開しました。

メタバース高校生「文学模擬裁判」交流戦」
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-16301.html

順天堂大学｜「OSCE試験対応VR」
順天堂大学は、医学生向けに「OSCE（客観的臨床能力試験）」と呼ばれる、医師として必要な診察や問診の技術をチェックする重要な実技試験対策のためにVR教材が開発しました。VR空間に自分の手を登場させ、実際の診察シーンを360度映像で再現、あたかも実際の患者へ、繰り返し練習することが可能です。

順天堂大学がVR教材を共同開発 医学生向けOSCE対策に“自分の手”で挑む新体験
https://miraiquest.net/ar-vr/2292/

セコム株式会社｜XR技術を活用した「XR研修プログラム」
今まで開発、運用を行ってきた「VR研修プログラム」から、侵入者対応シミュレーションを追加。昼夜の切り替えや環境音を再現し、オフィスや一軒家、地下駐車場などの様々なシチュエーションを用意。侵入者対応の練習だけではなく、対応アクションをスコア化し、改善点をフィードバック。さらには、第三者視点のリプレイにより、自身の動きを可視化し、修正・改善に繋げています。緊張感のある状況で、とっさの判断力を養うリアルな体験が可能です。

XR技術を活用した「XR研修プログラム」を開発
https://www.secom.co.jp/corporate/release/2025/nr_20250529.html

多くの活用効果が見出されているVRですが、自社で教育・研修用のコンテンツを制作するには、大変な時間と労力、費用がかかります。質の高いVRコンテンツを作るためには、費用感を確認し、専門の会社に相談するのもおすすめです。

タカラサプライコミュニケーションズ　VR
https://www.takara-sc.co.jp/xr_vr/